第十五回 「彷徨うは摩天楼の砂漠」
          
(UAE・オマーン・クウェート編)

UAE

Oman

Kuwait


UAE旅の期間:2007年8月11日~8月13日 3日間

訪問地:ドバイ、シャルジャ

 

オマーン旅の期間:2007年8月14日~8月16日 3日間

訪問地:マスカット、ミントリブ、ワディ・バニ・ハリド

 

クウェート旅の期間:2007年8月17日~8月18日 2日間

訪問地:クウェート





一日目: 無謀な出発

 

 時間が経つのは早いもの。あっという間に「毎年恒例:アジア旅」シリーズの出発前日を迎えていた。まだ荷物もまとめきれていない。あまり持って行くモノも無いが。楽しみで時々仕事にも集中できなくなるのだが、一方で実感がまだ沸いてこない。

 思えばホントに無謀な旅を決断してしまった。まだ行ったことの無いアジアの国は30カ国以上あるってのに、よりによって行く先は去年に引き続きアラビア半島の湾岸諸国。アラブって結構面白いから、という理由もあるが、まだ行ったことの無いアジアの国のほとんどが彼の地域に集中しているからでもある。だが正直優先順位は決して高い方ではなかった。直前までネパール行きを予定していたのだが、帰国に合わせて一緒に行こうと思っていた在日ネパール人、Rさんの帰国予定がお流れになってしまい、そうなるとせっかく知人がいるのに一人旅になってしまうのももったいないナ、と感じ、プランを再検討し始めたのは既に7月下旬であった。やっぱりトルコかな、イランかな、チュニジアかな、といろいろ当たってみたものの、どこのルートも全てフライトが満席。やっと入手できたのは香港までのチケットのみであった。そこで香港にいる友人、カオ君にそこから先のフライトチケットを現地で取ってもらい、何とか空き席を見つけた場所・・・。そこは今セレブ御用達の旅先として話題沸騰中のドバイであった。

 時期は非常に悪く、旅する上での悪条件は三拍子揃っている。第一に盆休み。フライトチケットだけでもバカにならない。燃料費だってある。ひょっとしたら今回の総費用、同地域へのパックツアーの料金を上回ってしまってるかも、と青ざめている。第二に季節。今アラビア半島はヘタすれば40度を越す灼熱地獄である。第三に物価。石油に浮かぶ裕福な国々であるだけに普通のアジアと違って物価は高い。だがこの時期ぐらいしか長い休みを取れないのだから、仕方ないと思うしかあるまい。学生時代にもっと中東を回っておいて、東南アジアは社会人以降にとっておけばよかった、なんて後悔しても仕方無し。

 10連休あっても中東となると、移動だけで二、三日費やしてしまう。現地で回れるのは良くても賞味五日~一週間ほど。エジプトとか、イランとか、トルコみたいに大きくて世界遺産の多い国なんかはとても回れない。せいぜい首都と名所を一箇所回ったらもう帰国の途につくことになる。なので前回同様、行く先は小さい国が中心になってしまう。ま、むしろこうした国々の方が日本では情報が少ないから面白そうだ、と言えなくもないけどね。

 かくして8月10日。午前中だけ出勤し、午後は半休して一人成田へ向かう。たまたまドバイに行くと中国人の同僚にしゃべった所、そのことが一部女性社員に漏れてしまい、僕が誰か女性を連れてゴージャスな豪遊旅行に出た、とのウワサが流れてしまったことを知ったのは、帰国後のことである。全く、ただのバックパッカーだって。中国人はホント挨拶代わりに人のウワサ話をするので困る。日本人はホント外国に対してステレオタイプのイメージしか持たないから困る。でも確かに超豪華なリゾートというイメージで売り込みしている彼の国にバックパッカーが旅できる場所なんてあるのだろうか? 悩みは尽きない。

 行く先が毎度マニアックだからか、旅上手のように見られることもあるが、実はすっごく不器用。特に一人旅は苦手。旅先でボッたくられることもあるし、一体何でこんな空しい旅をしてるの? なんて感じたことも何度かある。先に述べたように、物価の高い今回の行く先。セレブの豪遊旅行をお得意とする国柄でもあり、あまりバックパッカーが気軽に回れる地域ではない。旅の難易度としてはかなりハードルの高いものとなるに違いない。

 だけど、どの国だってイメージ通りというわけではない。何か、きっとある。それは現地に行かないと絶対にわからないものである。ここまできたら、行くしかない。明日は香港で一泊。そして翌日より、超バブルに湧く未来都市、ドバイへと一人飛び立つ。